本来の育成のために!

今回紹介する記事に関して。

私の育成に対する考えに非常に近い記事をみかけました。
市井の私と、トッププロのひとの考え方に、
共通点を見出せるとは思いもしませんでしたので、
とてもうれしく思っています。
この考え方を皆様と共有したいと強く「想い」ます。

この記事はウェブ上に出ていた「リアルスポーツ」の記事です。
本来であればサイト内の記事のアドレスのリンクを貼り付けて、
皆さんに見ていただこうと思っていました。
けれどもどうしても記事の場所を探せなかったので、
一週間ほどその記事を載せます。
多少、「て・に・を・は」が変わってますがほぼ同一内容です。
掲載後は削除しますのでご理解ください。
著作権に抵触してますので。

「リアルスポーツ」
著作者「中野吉之伴」
2020.10.13の記事です。
https://real-sports.jp/


「勝ちにこだわる」ことより大事な3つのこと 
ドイツ指導者が明かす「育成」の目的と心得
(中野吉之伴) 2020.10.13

育成年代のサッカーの指導において、
子どもたちに勝ちたいと思う気持ちを育むことは大切だ。
一方で、
「勝ちにこだわる」ことに指導者まで引っ張られすぎてしまっていないだろうか?

1.FCケルンでU-8からU-15までの統括部長を務めた経験を持つ
指導者クラウス・パプストは、
「育成年代で指導者が目標とすることは
『選手の成長に焦点を当てて考える』こと」だと話す。
“目の前の試合に勝つこと”に集中するあまり
忘れがちな育成指導者の「目的」について、
ドイツの指導者の声に耳を傾けながら改めて考えてみよう。

 

指導者が心得ておくべき「育成において大事な3つの柱」
育成年代におけるスポーツ活動とは、
何を目標に取り組まれるべきものなのだろうか。

「全国大会出場」「県大会ベスト8」「1回戦突破」。

そんなふうに大会結果を目標に掲げる声が多いかもしれない。
もちろん選手は試合や大会があれば誰だって勝ちたいし、
そこに向けて一生懸命練習していくものだろう。
それが自然な感情だろうし、それが悪いわけもない。

ではそのすべてを肯定してもいいのだろうか。

クラブチームにおいても、部活動においても、
育成年代に関わる先生・育成指導者には
どんなことを目標として取り組むことが、
求められているのだろうか。

多角的に考察してみるうえでも、
違う生活圏や考え方に触れることは大きな意味があるはずだ。
そこで筆者の友人であり、
ドイツのケルンで長年育成指導者として活躍する
クラウス・パプストに話を聞いてみた。
パプストはブンデスリーガクラブの
1.FCケルンでU-8からU-15までの
統括部長を務めたこともある実績ある指導者だ。


育成年代で指導者が目標とすることは何か。

まず大事にすべきことは
『選手の成長に焦点を当てて考える』ということだ。

何か決断をしなければならない時は、
それぞれの選手にとって何がベストかを考えることが重要なんだ。

だから、それぞれの選手を可能な限り成長へと導くことが
育成における目標といえる。

チームとしての成績ではなくて、
子どもたち個々それぞれの成長を第一に考えるべきだ」

子どもたちの成長とは何をもって、
どのように考えればいいのだろうか。


パプストはサッカー指導者が
心得ておくべき「育成において大事な3つの柱がある」と強調する。


一番大切なのは『豊かな人間性』

正しい価値観を持ち、
理性的な判断ができる大人になれるように関わることがとても大事だ。

基本的に家庭でちゃんと行われていることだと思うけど、
僕らはサッカークラブとしてできることをやっていく。


2つ目に大事な柱は『可能性を広げる教育』だ。

みんな適切な教育を受け、
将来的に必要となるだろうさまざまな可能性を
手にするためのベースを身につけなければならない。

サッカークラブとしても
子どもの教育や学校での学業は最大限優先させなければならない。

過度なトレーニングで疲労し、
学業に差し障るようなこともあってはいけない。


そして3つ目が『サッカーへの適切なアプローチ』だ。

サッカー選手として健全に成長することを望んでいる。

つまり育成指導者は
選手としてどうなるかどうかだけを見ていてはダメなんだ。

子どもたちにはみんなそれぞれの人生がある。
プロになってもなれなくても、
選手後の世界を生き抜く力を身につけていなければならないのだから。

だから育成指導者の立ち振る舞いというのは本当にとても大切だよ。

でも難しいことをしろといっているのではない。

きちんと挨拶をする、
汚い言葉を使わない、
相手へ敬意を示す、
ポジティブに取り組む。

 そうした一人の人間として当たり前に大切なことを
われわれ大人が普段から手本として見せる。

そうした姿を日常から目の当たりにすることで、
子どもたちは自然に確かな価値観を身につけることができるんだ」

文句を言うことでミスがなくなるの?

人間性が一番大事とされているが、
スポーツとは人間性を身につけるために取り組むものではない。

だからそれが目的になるのには違和感を感じる。

でもスポーツを通して
さまざまなものを身につけることはできるのは確かだ。

だから、スポーツでの適切な活動を通して
正しい人間性を身につけることができるように
取り組むという捉え方が適切だろう。

例えば子どもたちを見ていると、
選手同士で文句を言い合う時がある。

誰かがミスをした。
その子に他の子が文句を言う。
時にはかなり汚い言葉を口にしてしまうこともある。

そうした時、指導者はどう対応すべきなのだろうか。

パプストは具体例を挙げて説明してくれた。

子どもたちを集めて、
まずは落ち着いてもらって、
それから質問をする。

『なんで文句を言うの?』と。
『だってあいつがミスしたから』
『フリーだったのにあいつが俺にパスをしなかったから』

ということを口にするだろう。

すると僕はこう次の質問をする。

『なるほど。じゃあ、そんなふうにきつく言ったり、
それこそ侮辱したりしたら、どうなるの? 
そうやって文句を言うことでミスがなくなるの?』

ミスをした選手は自分がミスをしたことはわかっている。
そしてそのミスがよくなかったことを痛感している。
誰だって『しまった!』って思っているよ。
ミスはどうしたって起こる。
プロ選手でもミスはするんだから。

じゃあ、ミスをしたからと激しく文句を言われたら、
その子はどうなるだろうか? 

気持ちはへこむし、
腹を立てたり、
悲しくなったり、
ちょっとしたパニックになったりもするだろう。

そうなったら
次にボールをもらった時どんなプレーができる? 
もっとよくないプレーをしても何も不思議じゃない。

『君らはサッカーでもっといいプレーがしたいんだよね。
試合になったらやっぱり勝ちたいんだよね。
でもミスをした味方に文句を言うということは、
自分たちの味方がもっとよくないプレーをしてしまう状況に
追いやっているということだよ』

サッカーの試合だ。
感情的になることはある。

でもだからって
何を言ってもいいわけじゃないことを学ばないといけない。
文句を言うのではなく、
彼を助けるにはどうしたらいいだろう、
次にどうしたらいいかを考えたほうが、
お互いにとってよっぽど実りがあるじゃないか」

指導者からそうした考える機会をもらえたら、
子どもたちは
コミュニケーションの取り方、
価値観の持ち方、
相手への配慮ということを結果として学ぶことができる。

互いに理解し合おうという、
そうした関係性を築くことができたら素敵だ。

指導者からの声掛けに関しても同様のことがいえる。

選手とのコミュニケーションを取ろうともせず、
自分の立場を利用しての強権は
それ以上に悪質といえるかもしれない。

無遠慮に無慈悲に罵声を飛ばすというのは
指導放棄以外の何物でもない。

勝ちたいと思う気持ちに指導者が引っ張られる危険

ブンデスリーガクラブの
SCフライブルク監督クリスティアン・シュトライヒが
こんなことを言っていた。

「特に育成において大事なのは、

指導者が選手を成長させようとすることよりも、
選手のそばで同伴して共に歩んでいけることだ。

選手は環境を整えればしっかりと自分自身で成長していくことができる。
その歩みの中ではいろんな困難や問題にぶつかることがあるだろう。

そんな時に彼らを支え、
アドバイスを送り、
そしてそばで共に歩める存在がとても大切なのだ」

僕たちは“それぞれ個々の子どもたち”と共に歩けているだろうか。

上から見下ろしたり、
先で待ち構えているような
立ち位置に立っていないだろうか。

指導者も結果が求められる試合が多くある環境にいると、

「勝った、負けた」
「トレセン選手が多くプレー」
「Jリーグ選手を輩出」

という派手な装飾に
気持ちを持っていかれがちになってしまう。

そして自分が選手を育てていると勘違いをしてしまいがちだ。

サッカーはゲームで、ゲームには勝ち負けがある。

だから熱くなるし、だから面白い。
勝つ気もないまま戦うのが面白いわけもない。

勝ちたいと思う気持ちを育むことだってとても大切だ。

でも、それに指導者まで引っ張られすぎてしまってはいけないのだ。

あくまでも
「何をどのようにすることが目の前の選手にとって大切なんだろう」と
“子どもたちの成長”を中心に考えることが大事なのだ。

それなのに指導者や、
あるいは親の思惑が間に入ってきてしまうことがよくある。

子どもの「サッカーをしたい!」という気持ちそっちのけで
「勝つためには誰が、どこでプレーすべき」と決めてしまう。

主力メンバーだけが試合に出るのを当たり前だと思ってしまう。


でもスポーツってそんな窮屈なものだろうか? 

パプストはこう説く。

「これはドイツでもあることだが、
ちょっとでもうまい子がいると、
上の学年の指導者と下の学年の指導者が取り合いをすることがある。

あるいは他のクラブからの声がかかる。
親が外からプレッシャーをかけてくることも多いよね。

でもね、両親、指導者のエゴが大事なんじゃない。

こうすればもっとチームが勝てるとかそういうことじゃないんだ。

どんな選択肢を用意したら、
その選手にとって一番最適な成長をすることができるのか、を
当事者みんなが考えなければならないんだ。

僕らのクラブでは
今季スローガンにしているキーワードは『勇気』なんだ。

勇気を持った選手になってほしい。
勇気のあるサッカーをしてほしい。

勇気のあるプレーとは
自陣ゴール前なのにドリブルをするようなことじゃないよ。
それは愚かなプレーだ。

でも、勇気がなければ上のステージには行けない。

『勇気を持ってボールをつなごう。
勇気を持って前線に縦パスを送ろう。
勇気を持って自分のアイデアにチャレンジしよう』

そのためには僕たち指導者が勇気を持たなきゃいけないんだ。

勇気を持って彼らのチャレンジを支える。
勇気を持って全選手に十分な出場機会を与える。
自分たちの取り組みを心から信じて、
みんなに自分からやろうとする気持ちを持ってもらえるように
導くことが大切だと思う」